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林 靖典 ポートレート 林 靖典 | ヨォルング語研究者・イダキ奏者

オーストラリア在住ヨォルング語研究者 林靖典の「アーネム・ランド単身赴任」

7. Bayngu Djama「何もせず...」

■ワニのいる生活

4月13日。予定通り朝から重装備でコミュニティーを徘徊。炎天下のもとグルグル徘徊したが、皆家の中で休んでいるので何も話しできなかった。仕方がないので、集会場でパソコン作業をし、メールチェック。

Elcho島で出会った学生
ワニがまっすぐ飛ぶ姿初めて見ました。

そうこうしている内に表が騒がしくなり、何だろうと様子を伺うと、海岸に大きなワニが出たらしい。

走って見に行ったけど、既に海水の中に潜った後で、しばらく探したけど、見つからなかった。

ダーウィンでも今回の雨季で何度もビーチを歩いている人が2〜3m位のワニを発見し、頻繁にNT NEWS(ダーウィンの新聞)の一面記事になっていた。

危うく犬の散歩中に犬が襲われそうになった記事もあり、うかうか夕日を眺めてビーチも歩けない。

確かにワニの背中の色がビーチの色と保護色になり、遠くからじゃ気がつかないかもしれない。

あぁ怖いなあと思っていると、ワニが出た場所の30mくらい横で子供達は海からあがらず、バシャバシャと遊び続けている…ワニが日常に溶け込んでいる生活だ。

■ルンギン(喫煙パイプ)作り

パソコン作業も早々に切り上げ、とりあえず帰宅。すると居候宅の前にたくさんの人たちが集まっていて、なにやらウメラとルンギン(喫煙パイプ)作りを大勢でやっている。その中にはラープマの旅に行く予定のポイズンカズンもいて、「ラープマに行かないの?」と聞いたら、「今日は船の手配が出来なかったんだよ」と。

残念ながら、これで今回もラープマには行けないことが確定した。気を取り直して僕もルンギン作りに参加。元になる材料の枝の外見はサトウキビのようで、芯は瑞々しく、爪でほじると、サクサク削れる。まずは樹皮を剥ぎ、紙やすりで表面をブユブユ(滑らか)に。このブユブユっていう言葉はすごく好きで、日本語の意味となんとなく対極にあるのですぐ覚えれたし、コミカルな音で面白い。

その後は太い針金を焚き火で熱して、やわらかい芯を一気にジュゥーと焼いて穴を貫通させる。

タバコの葉を詰めるところはカニの爪を使ったりするらしいけど、今回はライフルの薬莢をヤスリで適当なサイズに切り落として使用。

本体にも薬莢と同じサイズの穴を胴体に開け、薬莢を装着。後は先端の穴をダンボールの切れ端で詰めれば出来上がり。

すごく簡単に出来た。

パイプ作り
熱した鉄でジュッ!

イリカラ・フィルム・プロジェクト等の昔の映像を見ていると、年配のヨォルングが腕の長さ位の大きなルンギンに火をつけ、モクモクと煙を吐いている映像があるが、めちゃくちゃに渋い!とりあえず真似をしなきゃならないので、多めにタバコを詰め、着火。が、一瞬でむせ返し、まわりのヨォルングが爆笑。

横に座っていた義姉がそれを見かねたのか、こうやるのよと言わんばかりに僕のルンギンで機関車のような煙を鼻と口からなめらかに出した。渋いなぁ。再度挑戦するもむせるばかりなので、吸い口に巻きタバコ様のフィルターを装着して、再び着火!やっと機関車になることができた。

いつも巻きタバコ携帯用の小さい布鞄にはタバコの葉、巻紙、フィルター、ライターを入れているけど、今日からはルンギンを追加しよう。自分で作ったという事もあって、愛着がわきそう。ペイントはせず、手垢で皮財布の様な味をだせればいいなぁ。そうこうしている内に夕方になってしまったので、シャワー浴びて寝ることにした。

最近午前中に潮が満ちているので、明日は朝から本島へ渡る船を手配するために動こう。到着から1週間、奇跡的にほとんどサンドフライの後遺症が無い。おそらく毎朝晩Detollの消毒液を刷り込んでいたので、殺菌されていたんだろう。明日からはラミンギニンなので、蚊もサンドフライもいないので今回は健康な状態でダーウィンに戻れそうだ。

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