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Research 林 Jeremy Loop Roots
RG|ディジュリドゥ奏者
Djambawa Marrawili インタビュー

6. Djambawa ミュージック・ストーリー / 変化し新しくなる伝統曲

G : G : NumbulwarとGroote Eylnadtの演奏スタイル、そしてあなた自身の演奏スタイルを録音させてもらえますか?

D : 「あぁいいよ。水をイダキに注ぎいれたかい?水を回しいれて、Dhu------と鳴らしてみてごらん」

(ここでDjambawaはNumbulwarのオールド・ソングの伴奏のリズムとGroote Eylandtのスタイルでディジュリドゥ・ソロを演奏した)

これがGroote Eylnadtの演奏スタイル。本当にこんなふうに演奏するんだ。Dhegu- DhiguDegeira.......

Djambawa plays Dhadalal

D : 「(Groote Eylnadtの演奏スタイル)はNumbulwarの人々の演奏スタイルにもかなり似通ってもいるんだ。ある日、かれらはかなり古い唄を唄っていたんだけど、同じようにやっていたよ。同じやり方だけど違う音色とリズムで、ディジュリドゥでさっきやったみたいにね。Numbulwarの人たちみたいに。」

G : 「近いんですね」

D : 「そう、同じやり方だね。でもよく聞くと彼らが違うやり方で唄っているのがわかると思う。そして、自分たちの土地について、あるいはほかのことについて唄ってる。新しい唄、なんて言うんだったかな、えーと、そう、Jamajamaだね?彼らも(新しいやり方だけど)同じように唄っている。

G : 「けどあれは新しい唄でしょ?」

D : 「うーん、それ(古い唄)を新しい唄に転じて、いまの人たちにとってより気持ちいい感じに変えて、若者たちのリアクションがより高くなるようにしてるんだよ。オリジナルの唄は、とても古いんだ。そういうものさ。」

D : 「これから演奏するのは、かれらの呼称ではDjunggirriny(※.1)、Bungalin-bungalin、ワルカプティパ(スペル/詳細ともに不明)、とか言う曲があるんだけど、それを個人的解釈をしたものだ。」

(ここでDjambawaは複雑なクラップスティックのリズムパターンを指ではじきながら完璧なブレイク部分もふくんだBungalin-bungalinをやってのけた)

G : 「すごく幅広い曲を覚えてるんですね!」

D : 「あぁ、たくさんの曲をね。昔、かれらと一緒に踊っていたからね。」

じゃぁ、次は北東アーネム・ランドのスタイルで、母方の唄、わたし自身の唄をディジュリドゥで演奏しようと思う。現在でもこの唄を唄ってるんだけど、若者たちはある日新しい唄へと変えたんだ.......。新しい唄っていうのも違うなぁ。かれらが心地よく感じるような、若者たちが本当にかきたてられるように変えたんだね。彼らは若者たちがもっと心底おもしろがれるようにしたんだよ。ロックバンドをやってる子たちとかね。みんなが踊って、唄って、腕をふり回したりできるようにね。

G : 「それってDjatpangarri(※.2)スタイル?」

D : 「Djatpangarriスタイル、そう!」

いったんリズムを聞いたら、それで古いやり方で唄おうが新しいやり方で唄おうがその人次第なんだね。二つのやり方がある。(Djambawaはクラップスティックをゆっくりとたたきながら)こんな感じで唄うのを聞いたらそれは古いやり方。「オッケー、この曲を崩して、えーと......ヨォルング語でBandja、腕っていう意味なんだけど、曲を崩してBandjaにする」って言ったら、(Djambawaは速いテンポでクラップスティックをたたきながら)今聞いてるみたいな感じにするんだ。

Yidaki from Baniyala

Bandja.......われらの言葉で「腕」だね、えーと、けどBandjaはただ小さなやり方、それを小さくするっていう意味なんだ。

ほらね。同じ唄を唄ってるんだけど、それをかなりくだいてるんだ。これは古い唄、これは唄の腕。腕、腕、ね。白人社会でなんて言うのかはわからないなぁ。フフフ.......。

G : 「つまりヨォルングには二つのスタイルがあるってこと?」

そう、二つのスタイル。かれらは曲をもっと.......あー.......自分が好む感じに新しい唄をはじめる。あぁー、(曲の感じに)リアクションを起こす、あるいは自分ができる自分の見せ方をするんだね。曲をねじ曲げたり、傾けたり、まとめたりね。自分が予測できるように曲のいくつかを形作ると、すべての曲が見渡せてるようになって、ディジュリドゥ(が変わること)によってダンスのリアクション(が変わること)を見ることができる。

G : なるほど!じゃあ、ダンサーを見て、それから変えるってこともあるんですね。

そう、変える。でも完全に新しい世界観に変えるっていうわけじゃなくて、ある人や動物だったりについての身体を曲げたり、踊ったりする同じメッセージであり、同じ唄であり、同じストーリーなんだよ。そうなんだ。

Djambawa Marawili's private Yidaki

- Djambawa Marawili's private Yidaki -

 


【注釈】

※1.Djunggirriny

北東アーネム・ランドのヨォルングのGalpuクランのイダキの名前でもあるが、それがもともと西アーネム・ランドのGoulburn島のMawung/Maungの人々が使う短いディジュリドゥから来ていることから、ここでは西アーネム・ランドの曲を指していると思われる。実際に「Songs from the Northern Territory vol.1」には西アーネム・ランドのOenpeliで1962年に録音された「Djunggurin」という曲が収録されている。また、そのオリジナルはWadjiginyの人々の「Wangga」ダンスソングから来ているというのも興味深い。>>戻る

※2. Djatpangarri

北東アーネム・ランドのヨォルングの曲目/唄の種類の一つ。以下は「Tribal Music of Australia」のライナーより抜粋。「ジャッパンガリは、北東アーネム・ランドのYirrkala周辺地域特有の歌と踊りの形式の一つで、たいてい曲中にブレイクがあり、これは「Stopping the Dance, halfway(途中で踊りをとめること)」と呼ばれている。ジャパンガリに使われるテーマのバラエティというのは、常に新たに見い出され続けており、中にはアボリジナルの社会に無かったものを取り上げてテーマにしているものもある。

以下はAlice M. Moyle博士によるDjatpangarriについての考察。「一般的に若く、独身の男性シンガー達は、Djatpangarriを「Fun Song(娯楽の歌)」と表現している」。>>戻る

 
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